旧共同野村銀行社屋(豊後高田市) 真宗大谷派四日市別院(宇佐市) 国登録有形文化財に

6月20日7時9分配信 西日本新聞

 国の文化審議会は19日、文部科学大臣に登録有形文化財の新規登録について答申した。このうち県内分は豊後高田市新町の「旧共同野村銀行社屋」1件と、宇佐市四日市の「真宗大谷派四日市別院」の本堂や経蔵など5件が含まれている。これにより県内の登録有形文化財は計169件となる。

■旧共同野村銀 「歴史的景観に寄与」

 旧共同野村銀行社屋は、明治時代に養蚕と製糸業で財を成した地元の「野村財閥」の野村礼次郎が、1933年ごろに建設した。西欧モダンな建物で「歴史的な景観に寄与している」と評価された。

 石造りの2階建て風だが、内部は吹き抜けになっており木造平屋。外壁の一部に彫刻が施され、タイルが張られている。玄関の外壁には、馬をつなぎ留める当時の鉄金具がそのまま残っている。

 床面積は約157平方メートル。縦長の窓がたくさんあり、太陽光が差し込み、屋内は明るい。上部の窓を清掃できるように、社屋の内壁には高さ約3メートルの位置に「キャットウオーク」という通路が取り付けられている。

 社屋は、4つの銀行や個人の所有を経て2004年、大分石油(永岡壮三社長、大分市)が約2000万円で購入。約1000万円かけて補修し、05年からギャラリーとして活用されている。「市民の憩いの場として後世に残していきたい」と永岡恵一郎会長。

 この建物の史料価値について、日本文理大の安藤剛(かたし)客員教授(建築学)は「『脱亜入欧』を目指した当時の世相を色濃く残している」と説明する。

 国有形文化財への登録を記念して、大分石油は昭和の紙幣や貨幣の展示会を開催中。8月末まで、入場無料。

 一方、四日市別院は1880年建築の本堂や、1799年建造の経蔵などが「近代初期の地方の真宗寺院の形式を知ることができる」と評価された。

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