備前焼:細工物、一堂に 香炉、精巧な作り--加子浦歴史文化館で展示 /岡山

7月4日17時0分配信 毎日新聞

 ◇12日まで
 17世紀初頭から現代の「細工物」と呼ばれる備前焼を集めた珍しい展示が、備前市日生町日生の加子浦歴史文化館で開かれている。12日まで。
 備前焼は室町期に、丈夫なすり鉢や甕(かめ)などで人気を得てブランド化し、日本一の窯業地となった。また、茶道の隆盛で水差しなどの茶陶でも知られた。しかし桃山~江戸初期、次第に釉薬(ゆうやく)を使った焼き物や磁器に人気が移り、備前はすり鉢と少量のとっくり、茶器で細々としのぐようになった。この状況を打開するために取り組んだのが細工物だった。
 江戸初期の元和期から布袋やだるま、獅子などの茶席の香炉が作られ、さらに香炉から発展した置物を製作。型による量産も始まった。また白備前など色のあるものも生産され、江戸中期は細工物が生産の主流になった。その後、細工物は衰退と復興を繰り返したが、戦後、ろくろを使う作家たちが全国的な人気を得て、備前焼といえば無釉薬の器のイメージが定着。細工物は衰退した。
 備前で焼かれた香炉や香炉型の置物を系統的に紹介する展示は珍しく、カニやボタンなど動植物を題材に、精巧に作られた江戸期の作品が目を引く。同展を鑑賞した備前焼研究家の目賀道明さん(74)は、「細工物に関して、これだけの展示は例がなく、今後も難しいのでは」と話していた。
 入場料は高校生以上200円、小・中学生100円。7日休館。問い合わせは同館(0869・72・9026)。【小林一彦】

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