山口智子 BSフジで「美の巡礼」 「形から謎を解く楽しさ」

かつて1980~90年代にかけ、トレンディードラマに引っ張りだこだった女優の山口智子。近ごろはドラマを離れ、美術や工芸をテーマにしたドキュメンタリー番組で見かけることが多い。BSフジで24日に放送される開局10周年記念番組「okaeri 山口智子 美の巡礼」(午後10時)では東欧のハンガリーを旅し、街角に息づく伝統美を伝えている。

 「現地の言葉が分からなくても、装飾や文様から何かを読み取ることができる。その謎解きが楽しいんです」と美術ドキュメンタリーの魅力を語る。4年ほど前、ゴッホの絵画を探るドキュメンタリー番組に出演したことをきっかけに、美術に目覚めた。「そのとき、いかに日本の職人技が優れているかを感じたことで、表面的なものより、五官で感じられるものの勉強を始めるようになりました」と振り返る。

 「自分には一生、二生、三生、四生、五生をかけても知り尽くせないことがあると思うだけでも楽しくなる」という。人一倍強い好奇心を満たそうと、旅を続けてきた。

 やがて、言葉ではなく形そのものからいろいろなものが読み取れる文様や装飾に興味を持つようになったと明かす。「歴史の流れの中に自分がいることを感じ、ゆるやかな気持ちになれるのもいいですね」

 今回の番組の舞台、ハンガリーは、東のアジアに根ざしたエキゾチックな文化と、西のヨーロッパの伝統文化が出合う場所。「2年前に訪ねたのですが、タイル装飾や天井などいろんな模様にあふれていて、好奇心を刺激された。東西の文明が融合した現地の職人らの美的センスの高さに驚きました」と話す。

 番組では、美術文明史家の多摩美術大教授、鶴岡真弓さんと共演。19世紀末に花開いた美術様式のアールヌーボーに注目し、「ハンガリーのガウディ」と呼ばれる建築家、レヒネル・エデンの足跡などを訪ねた。

 今後はドラマへの本格復帰も待たれるが、「面白い企画があればいつでも飛び込みたい」と話す。美術ドキュメンタリーと出合ったことをどう女優人生に生かすのか、これからの活動から目が離せない。(村上智博)

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