パーキングエリア、続々変身中 寄居は「星の王子さま」

 深谷市にある関越道上り線の寄居パーキングエリア(PA)が6月30日、「寄居 星の王子さまPA」として生まれ変わった。施設のデザインや物販のテーマを、童話「星の王子さま」の作者サンテグジュペリの世界に統一。全国でも新しいタイプのPAだ。東京都に隣接し、関越道と東北道が走る県内では、PAなどの高速道の休憩施設が続々と「変身」し、趣向を凝らして誘客につなげようという試みの先進地となっている。

 高速道からPAへの進入路に入っていくと、薄茶色の鐘楼が見えてくる。その下には塗り壁、プロバンス瓦、タイルに石積み壁などでできた施設が広がる――。

 「寄居 星の王子さまPA」は、サンテグジュペリが暮らした南仏・プロバンス地方の街並みのような雰囲気だ。東日本高速道路会社(NEXCO東日本)は「日常から離れた癒やし空間」と胸を張る。

 オープンの前日は、今年で生誕110年となるサンテグジュペリの誕生日だった。同氏の権利を継承しているオリビエ・ダゲイ氏もPAを訪れ、「ここは、まさにプロバンスそのもの。こんなに素晴らしい誕生日プレゼントはない」と話した。

 PAには、南仏料理のレストランやショップのほか、散策路や小さなバラ園もある。売店でアイスクリームを買い求めていた本庄市の主婦(53)は「ショッピングセンターや郊外のアウトレットモールに来たみたい」。

 「おとなは、だれも、はじめは子どもだった」「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ」。「王子さま」の有名な一節を仏語でPAの各所にちりばめるという趣向も。好きな言葉を探すのは、ファンならずとも楽しみの一つになりそうだ。

 敷地面積は約2万平方メートル、施設の延べ床面積は約341平方メートルで、規模が特に大きいわけではない。テーマ化やブランド化で集客増や活性化を図れるかどうか。店舗数などで特色を出しにくい小規模PAの将来像を探る「実験」でもある。(倉持裕和)

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