9月27日13時2分配信 毎日新聞
◇名古屋陶磁器会館、タイルの外装特徴
◇宝泉寺書院、数寄屋風造り代表
文化審議会は26日、国の文化財に登録する建造物として、県内からは名古屋陶磁器会館(名古屋市東区徳川1)と、宝泉寺書院(津島市池麩町2)の2件を答申した。陶磁器会館は昭和初期の建造物で、装飾的なタイルの外装が特徴。宝泉寺書院は、明治期に建築されたものを昭和初期に移築した数奇屋風造りとして知られている。【月足寛樹】
名古屋陶磁器会館は1932年に建築、46年に3階部分が増築された。鉄筋コンクリート3階建てで、述べ床面積は325平方メートル。外装は表面に浅い平行の溝を付けたスクラッチタイルばりで、縦横の線が織り成す装飾的な外観が特徴だ。名古屋陶磁器貿易商工同業組合の所有。
入り口のステンドグラスや階段室のモザイクタイル、照明、サッシなどは建築当時のまま残されている。現在は1階を組合が展示室や事務室などとして利用し、2、3階は貸事務所となっている。
宝泉寺は浄土宗西山派の寺院で、寺を開いたのは天文年間(1532~55)と言われている。1891年の濃尾地震で本堂などが倒壊し、順次、再建された。書院は津島で肥料商を営む同寺院の檀家総代、服部秀助(1871~1964)が1930年に自宅にあったものを寄進した。
書院は木造平屋建てで、屋根の上部に小屋根を合わせたような入母屋(いりもや)造りが特徴の数奇屋風建築。数奇屋は茶室の様式を取り入れた建築物で、宝泉寺の書院は数奇屋風造りを代表するきめ細やかさが目を引く。