10月30日8時0分配信 NNA
華南最大規模の環境見本市「エコ・エキスポ・アジア」(香港貿易発展局=TDC主催)が28日、香港国際空港(チェクラプコク空港)に隣接するアジア・ワールド・エキスポで開幕した。日本からは視察ミッション団100人のほか、阿部孝夫・川崎市長が来港、TDCとの間で技術協力や、香港をプラットフォームにした日中間のエコビジネス支援で覚書に署名。初出展の日系企業も複数あり、景気後退懸念が広がるなか、伸び期待感の高まる環境分野でバイヤーが熱心に見入った。31日まで。
■公害克服、ビジネス支援も
阿部市長は会場で講演し、1970~80年代に公害を克服した歴史を説明。「過去の経験が、今日につながった。企業のエコ化は、企業規模を問わない企業間の情報交換、最終的には社会貢献にもつながる」と述べ、同市のエコ支援施策の一環として、香港や中国本土企業と日系企業の橋渡し役を務めたい考えを披露した。
また、東京・横浜間にある立地的なメリットも語り、アジア企業の誘致や日本での起業支援も積極化させる方針を示した。
NNAに対し、阿部市長は「海外での企業活動を支援することで、自治体にもメリットはある。積極的にビジネスチャンスの場を設けたい」と述べ、香港を窓口にエコ技術に強みのある市内企業の華南進出を政策的にバックアップする意向を語った。
同市国際経済・アジア起業支援室によると、同市は今年4月、アジア各国の識者を招き、知的財産権をテーマにしたフォーラムを主催。来年度は香港で同様のセミナーを開く計画で、TDCとの覚書や市長来港の機運が高まったという。
ほか、同市からは環境配慮型設計を行う流体力学工房の佐藤和浩・社長も講演し、水を使い熱力学を応用した最新のエコ型高級ホテルの室内設備設計の方法や、戸建て住宅の基本設計に関する報告もあり、バイヤーや地元記者らが熱心に耳を傾けた。
■130社、関西企業も初出展
今回で3回目となる同見本市には、16カ国・地域の130社が出展。TDCによると、会期中はバイヤー約5,000人が来場する見込みだ。中国政府が公害対策を重点施策の1つに掲げ、1,860億米ドルを予算計上していることもあり、窓口となる香港でのエコビジネスには注目が高まっているという。
日本から今回初出展した設備機器中堅、城南電器(京都府宇治市)もその1つ。山本光世・常務は「中国市場は魅力的。日本では伸びが期待しにくい商品も、販売増が期待できると考えた」と話している。出品の目玉は、油分と水が複雑に混合したドレンと呼ばれる汚水の純化装置。広東省など本土当局の水汚染対策に注目しているという。
海外進出歴の長い日系では、本土子会社からの出展も。TOTOは、本土で先ごろ発売を始めたエコ型外壁素材や、タイル材をメーンにバイヤーにPRする考えだ。
香港・本土企業の環境対策をめぐる動きでは、当局による後押しのほか、国際標準化機構(ISO)の認証取得に際し、社内リサイクル制度の導入や、省エネに取り組む動きが活発。主力の二酸化炭素(CO2)削減や水・大気汚染対策のほか、さまざまな分野で市場拡大が見込まれそうだ。<香港>