幾多郎書斎 移築が完了 かほくの哲学館 あすから公開

 かほく市が進めていた哲学者・西田幾多郎の書斎「骨清窟(こつせいくつ)」の移築工事が完了し、移転先の県西田幾多郎記念哲学館(同市内日角)で二十一日から一般公開される。(山森保)

 書斎は一九七四(昭和四十九)年、京都市にあった西田邸から宇ノ気小学校横の旧西田記念館に移された。平屋建て約二十平方メートルの洋間でペチカ付き。愛用の机や和漢洋二千冊の蔵書が当時の状態のまま残され、二〇〇三年に国登録文化財の指定を受けた。

 移築後約三十五年を経て傷みが目立ち、修復と耐震補強を兼ねて、市が保存、公開に便利な哲学館へ再度移築することにした。

 書斎の古い写真や当時を知る西田の内孫・幾久彦氏(81)=東京在住=の聞き取りをもとに、床をリノリウム張りに戻したほか、外壁のタイルの数や色合いを忠実に再現。屋根は現在では珍しい天然石のスレートぶきに、ドアの塗装も当時のうぐいす色に戻した。壁で埋めてあった母屋側のドアは開閉して出入りできるようになり、外側に車いす用のスロープを設置した。事業費は約二千六百万円。

 二十一日は完成式に続き、午前十一時から書斎のかほく市移築に尽力した西田の外孫・上田薫氏(90)=東京在住=が講演する。一般公開は午後零時半から五時までで、当日は入室による見学ができるが、以後は保存のため外側からの見学となる。月曜休館。

多治見市観光大使:3人に委嘱 日本一暑い・美濃焼の里PR /岐阜

 多治見市は市観光大使制度を新設し、同市出身で、「シェ・シバタ」のパティシエ、柴田武さん(39)▽同市在住で“文字職人”として活躍する杉浦誠司さん(33)▽同市在住のミュージシャン、森晴義さん(29)--の3人に委嘱することを決めた。観光客誘致のため「日本一暑い街多治見」「歴史文化の薫(かお)る美濃焼・タイルの里多治見」の魅力を広く宣伝する。

 任期は3年。8月1日午前10時から市文化会館小ホールで開かれる市制70周年記念式典で就任式が行われる。

 柴田さんは同市や名古屋市、中国・上海市に店を開くなど国際的に活躍。9月には香港店をオープンさせる。

 杉浦さんは07年に多治見市が日本最高気温40・9度を記録した際に、ひらがなの「にほんいちあつい」を組み合わせて漢字の「多治見」の文字を創作。

 森さんはユニット「absorv(アブソーブ)」のリーダーとして活躍。母校の同市立平和中学校をテーマにした「桜ノ雨」は全国の卒業式で歌われている。

 同市は、柴田さんが開発した「多治見さくさくクッキー~うながっぱドリーム」を1日から発売する。ヘーゼルナッツ味とゴマ味の2種類で8枚入り750円、16枚入り1380円。シェ・シバタ多治見店のほか、市PRセンター、多治見駅観光案内所などで販売する。

 問い合わせは同店(0572・24・3030)。【小林哲夫】

銀河鉄道「白鳥の停車場」

宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」に登場する「白鳥の停車場」が、賢治の故郷・花巻市のイギリス海岸近くにお目見えした=写真=。主人公ジョバンニになった気分で、停車場からイギリス海岸まで散歩してみてはいかが――。

 「白鳥の停車場」は作中、銀河鉄道に乗ったジョバンニがカムパネルラと一緒に途中下車し、白い岩が広がる「プリオシン海岸」で120万年前のクルミを拾い、地層の調査をする大学士と会話を交わす。プリオシン海岸は、イギリス海岸がモデルになっている。

 完成した停車場は、イギリス海岸のバス停の待合所で、間口約3メートル、奥行き約1・5メートル。下見板張りで、木のベンチが1個置かれている。物語に合わせて壁の時計は11時ちょうどを示し、「二十分停車」や、「銀河ステーション」から「サザンクロス」までの路線案内図が壁に張られている。足元は、銀河をイメージした石の中に、ハクチョウ座をモザイクタイルで埋め込むなど細かいこだわりも。

 花巻では昨年から、賢治作品の舞台やイメージのもとになった場所を掘り起こして市街地活性化につなげようと、住民らによる「賢治・星めぐりの街活性化協議会」が活動している。停車場は、会長で建築士の木村清且さん(59)が、通り沿いの所有地を利用して自分で設計し、私費を投じて作った。

 木村さんは「中心市街地には、ジョバンニがアルバイトしていた活版所や、『シグナルとシグナレス』の舞台の停車場、『黒ぶだう』の公爵別荘になった屋敷など、賢治作品のモデルになったとみられる場所が二十数か所がある。これらをつなぎ、賢治の『星めぐりの歌』のように回遊してもらうのが目標で、停車場が、その入り口になれば」と話している。

(2010年7月28日 読売新聞)

猛暑の名古屋に一服の清涼剤 名駅前で打ち水

35度を超える猛暑日となった20日、打ち水で街を涼しくする「打ち水大作戦」が市内で始まった。初日は中村区の名古屋駅前であり、200人が参加。浴衣や法被姿で歩道や広場に水をまき、涼しいひとときを通行人とともに体感した。

 駅前は、地域の企業などでつくる「名古屋駅地区街づくり協議会」の主催で2年目。使った水は6カ所で1000リットルに及び、期限切れとなったオフィスビルの備蓄飲料水や、トイレに再利用している雨水、プールに使った水などの「2次利用水」をフル活用した。

 6カ所のうち、ミッドランドスクエア商業棟前では、参加者が歩道沿いにずらりと並び、和太鼓の演奏に合わせて、手おけやたらいの水を一斉にまいた。

 花こう岩のタイルを敷き詰めた地面の温度は、53・3度から打ち水後は43・8度と9・5度下がった。照りつける日差しの中、歩道はみるみる乾いていったが、浴衣で参加した名古屋モード学園2年、服部友里奈さん(19)は「涼しくなった感じがする。いい体験ができました」と笑顔だった。

 参加者は昨年から2倍に増え、協議会会長の神尾隆・東和不動産相談役は「環境への関心が高まっている。こうした取り組みが街の盛り上がりにつながれば」と期待を込めた。

スプーンで一輪挿し

高崎市剣崎町の生花店「花のナカムラ」がスプーンを使った一輪挿しを商品化し、人気を呼んでいる。

 店主の外所(とどころ)亨さん(36)の妻、弘子さん(37)が1年前、雑誌から「いやしの花」をテーマにアレンジメントを依頼された際に、「花と関係のないものを使うと楽しいかな」と複数のスプーンを使ってみたのがきっかけ。

 その後、1本のスプーンの皿部分に水を入れて一輪挿しとして店頭に飾っておいたところ、客から「ぜひ欲しい」との声が相次ぎ、4月に「ワンスプーン」の名で商品化に踏み切った。

 10センチ四方のガラスやタイルに銀色のスプーンを接着し、スプーンの皿の中心に画びょうの針を立て、花を生けるようにしている。

 結婚式の引き出物などとして北海道から九州までの花屋を通じて注文が相次ぎ、これまでに200本以上を売り上げているという。亨さんは「スプーンに花が立っているという意外性と、シンプルさが受けている」と語り、弘子さんは「楽しい食卓をイメージしています」と話す。

 1575円。問い合わせは同店(027・344・1451)へ。

(2010年7月8日 読売新聞)

荒井区ふるさと講座

 伊那市荒井区の創造館の歴史について学ぶ、荒井区ふるさと講座が26日、開かれた。地区住民ら約60人が参加した。

 荒井区では、創造館が開館したことをきっかけに、古くから地区にあった建物の歴史について学んでもらおうと講座を開いた。

 旧上伊那図書館のあり方について考える、後利用基本計画策定委員会委員長だった春日博人さんが講師を務めた。

 春日さんは、旧上伊那図書館が建てられた昭和5年頃の荒井区の様子について「周囲には小学校や役所などがあり、荒井区は教育・行政の中心地だった」と話していた。

 また、創造館の造りについて「鉄筋コンクリートで、外壁には高遠焼きのタイルが張り付けられたモダンな建築様式」と説明していた。

 春日さんは「創造館は上伊那図書館の歴史を継いだ貴重な建物。地元のみなさんにもたくさん利用してもらいたい」と話していた。

パーキングエリア、続々変身中 寄居は「星の王子さま」

 深谷市にある関越道上り線の寄居パーキングエリア(PA)が6月30日、「寄居 星の王子さまPA」として生まれ変わった。施設のデザインや物販のテーマを、童話「星の王子さま」の作者サンテグジュペリの世界に統一。全国でも新しいタイプのPAだ。東京都に隣接し、関越道と東北道が走る県内では、PAなどの高速道の休憩施設が続々と「変身」し、趣向を凝らして誘客につなげようという試みの先進地となっている。

 高速道からPAへの進入路に入っていくと、薄茶色の鐘楼が見えてくる。その下には塗り壁、プロバンス瓦、タイルに石積み壁などでできた施設が広がる――。

 「寄居 星の王子さまPA」は、サンテグジュペリが暮らした南仏・プロバンス地方の街並みのような雰囲気だ。東日本高速道路会社(NEXCO東日本)は「日常から離れた癒やし空間」と胸を張る。

 オープンの前日は、今年で生誕110年となるサンテグジュペリの誕生日だった。同氏の権利を継承しているオリビエ・ダゲイ氏もPAを訪れ、「ここは、まさにプロバンスそのもの。こんなに素晴らしい誕生日プレゼントはない」と話した。

 PAには、南仏料理のレストランやショップのほか、散策路や小さなバラ園もある。売店でアイスクリームを買い求めていた本庄市の主婦(53)は「ショッピングセンターや郊外のアウトレットモールに来たみたい」。

 「おとなは、だれも、はじめは子どもだった」「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ」。「王子さま」の有名な一節を仏語でPAの各所にちりばめるという趣向も。好きな言葉を探すのは、ファンならずとも楽しみの一つになりそうだ。

 敷地面積は約2万平方メートル、施設の延べ床面積は約341平方メートルで、規模が特に大きいわけではない。テーマ化やブランド化で集客増や活性化を図れるかどうか。店舗数などで特色を出しにくい小規模PAの将来像を探る「実験」でもある。(倉持裕和)

ガタガタの歩道 補修はいつ?

今にも外れそうなタイルが目に付くのは、区内久本3丁目付近の歩道。「カタカタ」と音が鳴り、段差や傷みが目立つ。人の往来が激しい溝の口駅周辺にはこのような傷みの目立つ歩道が少なくない。管轄する高津区道路公園センターでは、「穴が開いている」等緊急を要するものから補修を行っているという。

 今回問い合わせた歩道に関して、同センターは「今夏終わり頃をめどに補修を予定している。下地を補強しながら新しいブロックを並べていく」とのこと。

 傷みの激しい歩道の補修に関する相談や要望は同センターで随時受け付け、現地調査を行っている。

匠の学校、存続危機 県建設共同高等職業訓練校 業界低迷で生徒激減

若手職人が建築や板金などの専門技能を磨く「石川県建設共同高等職業訓練校」(金沢市北安江4丁目)が、運営の危機に立たされている。1964(昭和39)年に業界団体が設立した当時、223人を数えた入校者が今年度は5人に減り、命綱である県の助成も打ち切りの瀬戸際に。一方で、修了生が金沢城河北門の復元工事など高度な現場で活躍している実情があり、関係者は「匠(たくみ)の技や職人魂を伝承する場として存続させたい」としている。
 同校は、職業訓練法人「石川県建設協議会」が運営し、10~30代の若手職人が各事業所で働きながら通学している。建築、木工、板金、タイル、塗装の5科で中堅技能者を育成、これまでに1207人の修了生を送り出してきた。

 近年は、不況による建築業界の冷え込みで現場で働く若手が減っている上、少ない仕事を最低限の人数でこなしているため、仕事と並行して訓練校で学ばせる人的な余裕がない事業主が増えているという。生徒数は激減し、現在の在籍数は11人となっている。

 石川県の認定訓練校となっている同校は、運営費の2分の1を県の助成で賄ってきたが、近年は「各科の在籍数が5人以上」とする助成金の交付要件が満たせなくなってきた。

 現在、建築科は辛うじて5人が在籍するが、木工科は4人、板金科は2人で、塗装科とタイル科は休科となっている。

 同校が陳情を続けた結果、県は、現状では規定の人数に届かない学科にも助成を認めているが、「生徒不足が数年にわたって続けば、助成打ち切りの判断も出てくる」(労働企画課)とし、来年度以降も助成を受けられるかは不透明な状況だ。

 コンピューターでの製図や、木材加工の機械化が進む現在も、同校では、差し金など伝統的な大工道具を使って製図する「規矩(きく)術」など旧来の技法も基礎から教えており、中には河北門の復元工事に携わった修了生もいる。

 建築科の講師で、金沢城の各種復元工事の指揮を執った佐田秀造さん(58)は「(合理化が進む)昨今の現場では身につかないものもある。(伝統技法を)今から残していかないと大変なことになる」と指摘する。

 同校では、各事業所への入校呼び掛けを強める考えで、河村松一校長(67)は「わずかでも入校希望者がいる限りは存続し、金の卵を育てていきたい」と話した。

役立つ住宅情報:櫻井幸雄の住アドバイス 新規分譲ラッシュ

◇魅力的な物件、目白押し
 マンションの売れ行きが急速に回復するなか、首都圏では夏に向けて供給ラッシュというべき状況が生まれている。

 駅に近い大規模、再開発エリアの超高層など注目物件が目白押し。気になるのはその価格……だが、調べてみると「結構抑えられているなあ」というのが私の印象だ。分譲物件が増えたため、価格を上げればそっぽを向かれそう。だから上げられない。低い価格水準のままだが、短期間に売れるのであればそれでよしとする不動産会社が多い。それが、価格が抑えられている理由だろう。

 つまり、この夏、新規分譲されるマンションは数が多いだけでなく、魅力的な物件の比率も高いわけだ。一例をあげよう。

 川崎市内で新規分譲される「パークホームズグランファースト」は三井不動産レジデンシャルが売り主となる“駅近”の大規模マンションだ。

 建設地は京急大師線・鈴木町駅が最寄りで、同駅から徒歩1分。敷地の隣がイトーヨーカドーとなるため、買い物も徒歩1分という便利な場所である。ちなみに、鈴木町駅は川崎まで2駅5分となるため、品川まで13分、横浜へも11分という所要時間となる。

 総戸数は303戸。15階建ての高層棟と7階建ての中層棟で構成され、建物は約5700本の樹木で囲まれる。そして、敷地内に託児所を備え、駐車場設置率は約89%。その駐車場の使用料が月額3000円からになる予定など、注目点が多い。

 住戸内の設備も充実しており、IHクッキングヒーター、エコキュートの次世代オール電化システムを採用。ディスポーザー、食器洗い乾燥機、そしてキッチン天板(大理石)一体型カウンターを標準設置する。窓は二重サッシもしくはペアガラスサッシで、外壁はタイル張りとガラス面が多い構成。エントランスロビーは十分な広さを確保するなど、しっかりとつくり込まれている。

 それでいて、価格は2800万円台から(約58平方メートル)。70平方メートルクラスの3LDKでも3400万円台からの設定となっており、住戸バリエーションも豊富だ。

 低金利の現在、3400万円の住戸を全額ローン、35年返済・ボーナス併用なしにしても、毎月の返済金は10万円前後におさまる。毎月の管理費と修繕積立金、それに駐車場使用料を加えても、「今払っている家賃より安い」という家庭が多いはずだ。

 6月から始まった事前案内には30歳前後の若い夫婦から、シニアの2人暮らしまで幅広い層が集まっている。価格の手ごろさと、便利な立地が支持された結果だろう。(住宅ジャーナリスト