モニュメント:原料は“ダブルエコ” 湖底土と釉薬かす使い窯元制作--甲賀 /滋賀

10月21日15時1分配信 毎日新聞

 ◇琵琶湖と山の産物を「再生」--窯元が制作、大型SCに設置へ
 信楽焼の窯元「壷新」(甲賀市信楽町)が、琵琶湖のしゅんせつ土を再利用した「湖底土」と、信楽焼の釉薬(ゆうやく)のかす(廃泥)などで作った「信楽エコ土」を使ったモニュメントを制作している。湖と山の産物を再生させた“ダブルエコ”の作品。完成後は、草津市新浜町に来月26日にオープンする大型ショッピングセンター「イオンモール草津」に設置する。【南文枝】
 ◇皿やタイルにも利用
 モニュメントは長さ約1・4メートルと約1メートル大の作品一対で構成。「新しい場所に新しい文化が芽生え、人が集まるように」という思いを込め、「萌芽」をテーマにした。縦向きと横向きに置き、暗くなると、上部に入ったスリット(すき間)からLED(発光ダイオード)の光があふれる構造だ。
 しゅんせつ土は、独立行政法人・水資源機構(旧水資源開発公団)が、旧公団時代に琵琶湖岸を開発した際に湖底から掘り出し、近江大橋東詰(同市新浜町)の所有地に保管したままになっていた。
 同社は、デザイン会社「ディ・ブレイン研究所」(大阪市北区)などと協力し、陶芸用の土を混ぜて焼くことで実用化に成功。信楽焼のメーカーなどでつくる「信楽陶器工業協同組合」(甲賀市信楽町)が、陶器を作る際に出る産業廃棄物の釉薬のかすと粘土を混ぜて開発した「エコ土」を原料にモニュメントを制作することにした。
 壷新は、他にも湖底土を利用して皿やタイル、プランターも作り、ショッピングセンターの外装や記念品などに使われる。壷新の奥田国人社長(55)は「湖底土は保水性が高く、思ったより使いやすかった。実用化に苦労した分だけ、作品の完成が楽しみだ」と話している。

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