九州大学の箱崎キャンパスには、大正時代や昭和初期に建てられた建築物や巨大な壁画があります。
レトロな建物に残る貴重な遺産を訪ねました。
福岡市東区の九州大学箱崎キャンパス。
レンガを配し、装飾が施された、モダンな建物が建ち並んでいます。
キャンパスを、建築学が専門の堀賀貴教授に案内してもらいました。
赤煉瓦のレトロな建物。
1925年、大正時代に建てられたものです。
現在は、大学の事務局として使用されています。
大学内のほとんどの建物を設計したのが、当時、九州帝国大学の建築課長だった倉田謙氏です。
倉田氏の設計には、当時としては最先端の西洋の建築技術が取り入れられていました。
この旧法文学部の本館も、1925年大正時代に建てられました。
堂々とした姿が印象的な旧工学部本館の建物。
火事で消失してしまった本館を、1930年、昭和5年に再建したものです。
壁が丸みを帯びているのが特徴で、レンガではなく、タイルが使用されています。
この建物の中には、巨大な壁画も残っています。
縦2.5メートル、横5.7メートル、作者は、昭和初期に活躍した洋画家・青山熊治氏です。
当時工学部の教授だった西川氏の依頼で、会議室の装飾品として、描きました。
しかし、この作品には、青山氏のサインはありません。
実は、未完成のままで、題名もないのです。
九州大学に今も残る歴史的な遺産の数々。
すでに伊都キャンパスへの順次移転が進んでいて、学生の姿はまばらになりつつありますが、当時に思いをはせながら、学内をゆっくり散策してみるのもいいかもしれません。
[11日20時42分更新]