11月30日12時1分配信 毎日新聞
◇明治の洋風建築の息吹、今に--秋田市立赤れんが郷土館(秋田)
およそ100年前、元号が大正に変わる直前の1912(明治45)年7月、秋田銀行本店本館として完成した。81年に秋田市に寄贈され、修復を経て85年に開館。明治時代の洋風建築の息吹を今に伝える。
外観は左右対称で、均整のとれたルネサンス様式。1階部分は白色の磁気タイル、2階部分には赤れんがが積み上げられ、端正な姿が目を引く。
館内に足を踏み入れると、天井まで高さ約9メートルの吹き抜けの旧営業室がある。部屋の作り自体は今の銀行とさほど変わらない。だがカウンターは大理石で、シャンデリアの周りに忍冬唐草文様があしらわれるなど、細部まで行き届いた装飾。バロック様式を基調とした華やかで重厚な作りになっている。
外装と内装で異なる様式が混じるのは、設計者が違うからだ。いずれも優れたデザインで、94年に国の重要文化財に指定された。同館の真井田宏彰学芸員は「県内でこれだけ意匠的に優れた建築物は他にない」と胸を張る。
秋田出身の鍛金家、関谷四郎の記念室や秋田の人びとの暮らしを描き続けた版画家、勝平得之の記念館、さらに八橋人形や漆芸作品など、秋田ゆかりの伝統工芸品の展示もある。【坂本太郎】
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◇メモ
85年オープン。秋田市大町3の3の21(018・864・6851)。飲食店が集まる川反地区に位置する。開館は午前9時半~午後4時半で、年末年始と展示替え期間は休館(次回は12月8~12日)。観覧料200円。中学生以下は無料。