町工場街の工房に並ぶテラコッタ 東京

5月6日7時56分配信 産経新聞

 羽田空港近くの町工場が並ぶ一角に、タイル張り3階建てで窓の大きな家がある。道路から1メートルほど下がり、天井が高い部屋には、大小さまざまな大きさの素焼き「テラコッタ」の作品や絵画が並び、癒やしの空間として地元で話題となっている。

 自宅をギャラリーにしたのは、創元会会員、日本美術家連盟会員の芸術家、大原瑩子(えいこ)さん(70)、大田区大森南。そこで開かれている「大原瑩子展パートII」(7月30日まで)は毎週火、木、土曜の午後1~5時に公開されている。

 「油絵からスタートしましたが、版画、コラージュなど、ジャンルは無限に広がります」「今は土で造形し、素焼きするテラコッタ作りが楽しい。土を手にすると、自然に手の中で形が生まれます」とほほえむ大原さん。

 女子美術大洋画科を卒業した後、絵を描くために、平面ばかりでなく立体の勉強が必要と考え、24年前、彫刻やテラコッタ作りを始めた。土をこねて高さ70センチほどの裸婦像を作っている途中、モデルを見て突然ひらめき、墨一色の一筆書きで136センチ×70センチの画面に一気に描いた裸婦画も展示している。

 周辺の町工場は不況で仕事が減り、廃業する会社も出始めた。

 「苦しんでいる人たちにさわやかさを提供したい」と、建設会社を退職し障害者福祉の仕事をしていた夫の小西正文さん(72)を“助手”に、昨年末から3月までこのギャラリーで個展を開いたところ、「癒やされる」と大好評。今回は、近くの精肉店が手作りのポスターを店にはって宣伝してくれたという。

 会場には体験コーナーもあり、大原さんが「創作しているときの心の穏やかさを知ってほしい」と、テラコッタ作りを手ほどきしてくれる。【問】(電)03・5736・0731

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