「危ない」転がる鉄製タイル

「龍ヶ崎、土浦で竜巻が発生、多数の住宅倒壊」。連絡を受け、牛久市を経由して、風は強いものの穏やかな田園風景を横目に見ながら、県道48号線から龍ヶ崎市大徳町に到着すると、周囲の風景は一変した。ビニールが吹き飛び、骨組みがぐにゃりと変形した農家のビニールハウス、屋根が吹き飛ばされたガレージが視界に飛び込んできた。

 路地を歩くと、所々でがれきの山が道をふさぎ、四方から落下音がする。5分ほど歩くと、「危ない」という叫び声が響き渡った。振り返ると、長さ3メートルはある鉄製のタイルがそばに転がっている。発生時間が通勤通学時間帯だったらと思うと、ぞっとした。

 水戸を出たとき、厚い雲に覆われていた上空は、いつの間にか青く澄みわたっている。一帯を歩くと、被害を受けた住宅などは、ほぼ一直線のラインに集中していることが分かった。自営業の男性(65)方を訪ねると、2階の寝室に通してくれた。男性は「一歩間違えば死んでいた」と話した。1、2階の窓ガラスはほとんどが割れ落ち、窓枠にはベニヤ板が張られている。室内には、外から飛び込んできたがれきとガラスの破片が散乱し、身動きが取れない。ふとベッドに目を移すと焦げ茶色の血痕が数滴、生々しく残っていた。(水戸支局 建石剛)

(2009年10月9日 読売新聞)

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