旧深川食堂、「モダン館」で再スタート

昭和初期のモダン建築を伝える建物として、国の登録有形文化財に認定された東京都江東区の「旧東京市深川食堂」(門前仲町1)が10日、「深川東京モダン館」として生まれ変わった。

 一時は解体も含めて検討された貴重な文化遺産は、区の観光・文化拠点として再スタートを切る。(横山就平)

 同館は昭和7年(1932年)、関東大震災の復興計画の一環として、被災者らに定食やカレー、コーヒーなどを安く提供するため、旧東京市が設置した市設食堂の一つとして完成した。鉄筋コンクリート造り2階建てで、正面外壁に施された丸いスチールサッシの窓やタイル張りの階段など当時としてはモダンな建築様式が採用されていた。

 東京大空襲で内部が焼け、戦後は改修されて職業安定所や内職紹介所、福祉作業所などに利用された。2006年、作業所の移転や老朽化で閉鎖されたが、完成当時、シンプルさを追求する最先端のモダン建築を伝える歴史的建造物として、区が保存を決定。昨年7月には、国の登録有形文化財に認定された。

 改装されたモダン館の1階は、江戸、近代、現代のテーマごとに町歩きを楽しめる観光案内所となり、2階の展示スペースは、文化イベントやギャラリーとして貸し出す予定。

 公募で同館のコーディネーターに選ばれた井村六美さんは、「昔からある観光名所でも、今の時代から見た魅力を提供できる施設にしていきたい」と話している。

 問い合わせは、同館(電)5639・1776へ。

(2009年10月13日 読売新聞)

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