3月7日8時33分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
日本郵政は6日、東京中央郵便局の取り壊しを鳩山邦夫総務相が批判している問題で、この日から予定していた現局舎の本格的な解体工事を一時延期した。当面は外壁タイルや石材の撤去に伴う建物の崩落を防止するなどの保全工事を進める。同社は「総務相の批判に配慮したが、理解を得てできるだけ早期に(解体を)始めたい」としている。
延期に伴い、新ビルの2011年度内の完成に遅れの懸念があるほか、負担増の恐れも出てきた。駅前の一等地での不動産ビジネスの先行きに暗雲が広がっている。
計画の抜本的な見直しで現契約を破棄することになれば、建設業者から数十億円規模の賠償を求められる可能性があり、再設計や工期の遅れに伴う追加費用ものしかかる。さらに「完成が遅れればテナント収入など月に約10億円の損失が出る計算になる」(日本郵政不動産企画部)という。
07年10月の郵政民営化に伴い、旧日本郵政公社から東京と大阪の中央郵便局、名古屋中央郵便局駅前分室を引き継いだ郵政グループ傘下の郵便局会社にとって、3大都市の駅前一等地の不動産事業は「将来の収益の柱」と期待するビジネスだ。
山間・離島までのカバーを義務付けられた、郵便局の全国網の維持費用を稼ぐためにも、不動産ビジネス展開は不可欠になる。
東京中央郵便局のケースでは、建物の一部を保存・再現しながら、高さ200メートルの「JPタワー」(仮称)に建て替える計画を策定。JR東京駅前という立地を生かし、テナント収入などで年間百数十億円の利益を見込む。
日本郵政幹部は東京中央郵便局の再開発について「過去2年間、総務省や文化庁と相談を重ね、効率性と公共性の両立を目指した結果が今回の計画だ」と述べ、総務相の理解を得ていく意向だ。