3月26日17時2分配信 毎日新聞
◇被災者ら「長かった」「終わりはない、頑張らないと」
能登半島地震から25日で2年が経過した。被災地では住宅再建が進み、被災者は元の生活を取り戻しつつある。輪島市では発生時刻の午前9時41分、防災無線でアナウンスが流れた。この日は観光名所の輪島朝市が定休日で、市内には観光客の姿もまばら。住民らは静かに復興を祈った。【栗原伸夫】
同市門前町の総持寺では、復興を祈願する法要が行われ、梶文秋市長らが出席。総持寺通り商店街会長の五十嵐義憲さん(61)ら被災者も参加した。
商店街では、加盟39店のうち37店が被害を受けたが、1店を除き再建された。廃業した店は一つもない。後継者不足など課題は多いが、街並みはほぼ元に戻った。五十嵐さんは「通りに出て走り回ったが、何をすればいいのか分からなかった」と振り返る。割れた店先のタイル床を5月に修理する予定で、この2年を「長かった。やっとという感じ。思い出したくない気持ちもある」と話した。
◇仮設のお年寄りをボランティア訪問
同市山岸町の仮設住宅では、神戸大の学生らがボランティア訪問。足湯で入居者らの苦労をねぎらった。元入居者で市営住宅に引っ越した大吉信光さん(77)は「楽しかった。最高です」と上機嫌。得意の歌も2曲披露し、拍手を浴びた。来月に災害公営住宅に入居する予定の岡満恵さん(74)は「被災に終わりはない。3年目が始まるので、頑張らないと」と話した。
◇自営業者なお支援--輪島市長
輪島市の梶文秋市長はこの日、記者会見で「災害公営住宅の建設などで復興の形は見えてきた。漆器などの自営業者はまだ経営が厳しく、支援していかなければ」と述べた。防災対策では「地域が避難所や要援護者などを考え、市も支援していきたい。災害公営住宅の入居者が新たに町内会に入り、広い地域で防災を考える必要がある」と話した。
◇ ◇
能登半島地震は07年3月25日午前9時41分に発生した。マグニチュード6・9、最大震度6強。県内では1人が死亡、338人が重軽傷を負い住宅2426棟が全半壊した。輪島市など2市2町でピーク時に329世帯、736人が仮設住宅に入居。4月末が入居期限で、同市は49戸の災害公営住宅を建設した。穴水町は民間が建設した集合住宅を借り上げ、12世帯が入居する。