銭湯ライブ:客足の復活目指す 若者が生演奏を堪能--高円寺 /東京

5月28日11時0分配信 毎日新聞

 ◇タイル張りの風呂
 杉並区高円寺北3の銭湯「なみのゆ」で、浴場を会場にしたユニークなライブコンサートが開かれ、地域の話題となっている。
 ライブの提案者は、なみのゆを設計した1級建築士で、アマチュアやインディーズのバンドに知り合いの多い今井健太郎さん(41)=港区。日ごろから「銭湯に足を運んでもらうにはどうすればいいか」と、呼び込み策を模索していた店主、大小島(おおこじま)博さん(59)に企画を持ちかけたという。
 今井さんたちは07年、さびれゆく銭湯をもり立てようと、有志で実行委をつくった。同4月、「湯フェス」と銘打った銭湯ライブを品川・戸越銀座温泉で開催。以来、半年に1回のペースで各地で開いてきた。昨年11月になみのゆでも初めてライブを催した。
 会場のセッティングは、浴槽の上にベニヤ板を置き、その上で演奏をするいたってシンプルなもの。今月16日になみのゆで、2回目となるライブを開催。都内と京都市から、アコースティックやロック、ジャズの計3バンドが出演した。
 風呂場は、観客が20人も入ればいっぱいになる大きさ。午後3時半に開演し、常連や都内外から集った若者らが、まだ日の差し込む明るいタイル張りの床で、心ゆくまで生演奏を楽しんでいた。
 大小島さんは「これからの時代に銭湯が生き残るには、風呂のある自宅からわざわざ足を運んででも利用したい、と思わせる魅力ある仕掛けが必要」と力を込める。
 なみのゆの開業は、終戦直後の1946(昭和21)年。利用客は20年前に比べると、年間5分の1以下にまで落ち込んでいるという。大小島さんは「まずは銭湯を身近に感じてもらうのが一番。ライブは毎回好評なので、ぜひ定着させたい」と話している。【松谷譲二】
〔都内版〕

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