プロの建築士が見た名古屋の街のおすすめ建築を紹介した冊子「楽しい建築・まち」を愛知建築士会の名古屋市内の6支部が発行した。いつもの観光案内にはないマンションや町並みなど、一風変わった「玄人目線」が楽しめる。
冊子は70ページあり、名古屋市と周辺市から約240の建築や町並みを紹介している。6支部ごとに選定委員会をつくって所属の建築士が選んだプロならではの選定が特徴だ。
例えば、県庁大津橋分室(中区)の紹介では「スクラッチタイル張りの外観が深い味わいを醸し出しています」などと専門家のコメントを添えている。大正、昭和に活躍したコンクリート造形師が手がけた道徳公園(南区)のくじらのオブジェや、北区にあるコーポラティブ住宅の初期作品のマンションなど、通常のガイドブックには掲載されない建築物も多く紹介されている。
冊子作りに参加した1級建築士の城戸康近さん(51)は「(耐震偽装)事件以来、業界に暗いイメージもあった。経済状況も厳しい中、楽しいものを作ろうと考えた。街を見直すきっかけにしてもらえれば」と期待する。
冊子は6支部の創立20周年を記念して発行された。非売品で、14日午後2時半からナディアパークデザインセンタービル(同市・矢場町)で開かれる講演会で配布される。入場無料で定員500人。講演会では、作家の赤瀬川原平さんらが建築や町並みをテーマに語る。問い合わせは愛知建築士会事務局(052・261・1451)へ。