富山市石倉町にある名水「延命地蔵の水」を使ったたこ焼き屋が今年5月、名水横にオープンし、話題を呼んでいる。店を営む同市東田地方町、吉田凌晟(りょうせい)さん(61)は「名水をくみに来る人にはぜひ味わってほしい」と話している。
「延命地蔵の水」を使って溶かした生地の中に、マヨネーズを流し込んだ製法で、名前は「マヨタコ」。外側の生地はカリッと焼き上がり、中はトロっと軟らかい食感が楽しめる。名水は口当たりが軟らかいのが特徴で、吉田さんは「生地もまろやかになる」と話す。
吉田さんは今年3月まで建築会社を経営し、同市新総曲輪の県警本部の外壁タイル工事などを手がけてきた。しかし、不況で仕事が減ったことに加えて、「60歳を過ぎて、年齢的に厳しくなった」との理由から、経営を後進に譲った。
10年ほど前から、趣味として祭りの縁日などで屋台を手伝っていた経験を生かし、本格的にたこ焼き屋を開くことを決意。人が集まり、駐車スペースがある場所を求めて、市内を探し回った結果、吉田さん自身も飲んでいた「延命地蔵の水」に出合ったという。
注文してから焼き上げるため、最初は「遅い」と文句を言う客もいたが、徐々に一つひとつを丁寧に作り上げる店のスタイルが浸透。多い日で約50食も売れるようになり、最初にたこ焼きを注文し、焼き上がる間を利用して、名水をくむ客も増えてきたという。吉田さんは「人づてにおいしいと聞いたお客さんが来てくれるのがうれしい」と喜ぶ。
近くで飲食店を経営する寿々(すず)怜子さん(61)は「今まで延命地蔵の水の周辺で、軽食を出すような場所はなかった。たこ焼きは子供から大人まで来るのでいい。遅くまでやっているのも便利で、客の注文に快くこたえ、サービスがいいと評判で、吉田さんは地元のアイドル的存在だ」と話している。
営業時間は平日午前11時~午後2時と同4~9時。休日は午前11時~午後9時。たこ焼きは6個で400円。問い合わせは吉田さん(090・5681・9870)。
(2009年11月17日 読売新聞)