刺しゅうや陶芸…塩屋の洋館で20人の工芸作品展

神戸市垂水区のJR・山陽塩屋駅近くに立つ明治時代の洋館「旧グッゲンハイム邸」で17日、20人の作家の作品を集めた「不思議なお部屋展2」が始まった。刺しゅうや陶芸、木工など多彩な作品が、海を見渡せるレトロな建物で楽しめる。

 1909年に建てられたとされる同邸は、地元のステンドグラス作家が買い取り、ギャラリーとして使っている。今回は神戸を中心に京都やフランスの作家が出展し、販売もしている。

 北区のガラス職人杉本昌広さん(39)は、サボテンの寄せ植えを手掛ける孝裕子さん(39)、靴職人の村岡映里さん(30)=いずれも明石市=と合作。さびた鉄とタイルで作った棚に寄せ植えと靴が飾られ、訪れた人たちの注目を集めていた。

 海を望むバルコニーにはカフェも設けられ、加古川市米田町の主婦宮永光子さん(50)は「電車から見える建物なので気になっていた。すてきな空間ですね」とうっとりした表情で話した。

 20日午後2時からは、障害のある人たちがピエロを演じるパフォーマンスやジャズライブ、子ども向けのワークショップなどがある。

 21日まで、無料。午前10時半~午後7時(最終日は同5時まで)。同邸TEL078・220・3924

(直江 純)

別府八湯・名人への道:/73 鶴の湯(鶴見) /大分

◇開放的な草原の湯
 鶴の湯は、福岡の実家に住む父(70)が「一度入ってみたい」と言い続けてきた。泊まりがけで遊びに来たのに合わせ、筆者の長女日向子(5)も連れて3人で出かけた。

 春の「火まつり」で知られる扇山(792メートル)の山すそにあるどこまでも開放的な温泉だ。長年通い続ける市内の男性ファン(65)がここを見つけたのは約30年前。山歩きの最中に道に迷い、谷川沿いに下る途中で偶然、見つけたという。横には大人が4~5人入れるほどの穴があり、さっそく入浴した。やや熱めだが、湯加減もいい。以来、毎月1~2回、夜道をかき分けて出かけた。

 知人と共にスコップとツルハシで穴を掘って湯船を広げ、小さな脱衣所も建てた。さらに、別のグループが、湯船の底にタイルを張ったり、コンクリートのベンチを作ったりし、少しずつ快適な空間に変わっていった。

 父は念願の入浴を果たし「気持ちいいねぇ」と大喜びだ。常連男性が温度計で測ると、湯温は45度。だが、肌ざわりが柔らかい硫黄系の湯だからか、湯温はもう少し低く感じる。日向子も「熱い」と言いながらも、しっかりと湯につかっている。肌が弱い長男裕紀(1)にも良さそうだ。そんな話をしたら、日向子にズバッと切り捨てられた。

 「ゆう君はこんな熱い湯には入れんちゃ」【祝部幹雄】

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 ◇鶴の湯(鶴見)
 鶴見霊園を登り切った草原に湧き出す究極の秘湯。ほのかな硫黄臭を持つ45度前後の湯が湧(わ)き出す。雨が少ない11月末~2月には熱くて入れなくなることもある。温泉道スタンプは、入浴風景を写真撮影し市観光協会0977・24・2828へ持参して押してもらう。入浴無料。

役立つ住宅情報:ハウジング・ミニ情報 壁飾りで上品さを演出--旭トステム外装

外装建材総合メーカーの旭トステム外装(本社・東京都江東区)は、住宅用の壁面装飾品「壁飾り」「妻飾り」の新商品を発売した。

 「フリー壁飾り 枠タイプ1・タイルセット」(写真、7000~1万1000円=運搬費・施工費・消費税別)は、アルミ製の枠だけで飾ったり、2種の花の模様のタイルと自由に組み合わせて、個性的な外壁に仕上げることができる。

 アルミ製の「妻飾りモデル1・2・3」(2万1000円=同)は、植物の葉などをモチーフにした3種のデザインで、壁面やバルコニーを上品に演出する。問い合わせは、同社サービスデスク(0570・001・117または03・5638・5111)。

毎日新聞 2010年6月10日 東京朝刊

東洋一の百貨店建築 公開

戦前、「東洋一の百貨店建築」と称された高島屋東別館(大阪市浪速区)が5月29日、6月5、12日の3日間、計120人限定で特別公開される。地下鉄駅との接続を想定した「幻のアーケード」や、岡本太郎さん原画のタイル画など、普段は見られないバックヤードも見学できる。建築物の公開を通して地域を活性化する市民参加型イベント「オープン! アーキテクチャー」の一環で、大阪では初めての試みだ。

 高島屋東別館は堺筋に面した日本橋の電器店街の一角にある。地上7階建て、地下2階。当初は松坂屋大阪店として、1928年(昭和3年)から37年(同12年)にかけて順次、完成した。66年の閉店後は、建物を買い取った高島屋が事務所中心で使用してきたため、外観、内部ともほぼ当時のまま保存されてきた。

建築はルネサンス様式で、外観はテラコッタ彫刻で飾られ、建物内は壁面や階段などにふんだんに大理石が使われている。

 産業遺産に詳しい垣本徹・大阪教育大助教は「贅(ぜい)を尽くした戦前の豪華建築がそのまま残ったタイムカプセルのようだ」と評価する。

 地下2階には、地下鉄堺筋線の駅建設を想定して、ホームと店舗を直結するアーケードが作られている。同線が開業した69年にはすでに松坂屋大阪店は閉店された後で、駅建設は幻に終わった。壁の向こうからは地下鉄電車のごう音が聞こえてくる。

屋上には、街を一望できるプールの跡が残っている。子どもたちの人気を集めたスポットで、冬季にはスケート場としても利用されていたという。高島屋大阪店の食堂を飾っていた巨大タイル画も移設、保存されている。原画は岡本太郎さんが描いた。

 主催するオープンアーキテクチャー実行委員会の斉藤理さんは「大阪には個性的な建築物が多い。公開は地域の歴史、文化を読み解くことだ。都市観光の新しい資源の発掘につながってほしい」と話している。

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 「オープン! アーキテクチャー」は2008年に東京で始まった。大阪では、大阪市立大大学院創造都市研究科OBらでつくる「大阪創造都市研究会」などが共催。高島屋東別館の特別公開は各日、午前10時半、午後1時半の2回で、定員各20人。入場料(資料代含む)は1000円。船場の綿業会館(5月28日)や、なんばターミナルビル(6月2、9日)も特別公開(有料)される。いずれも予約制。問い合わせはオープンアーキテクチャー実行委員会(03・3668・3666)、申し込みはウェブ(http://open‐a.org)まで。

(2010年5月25日 読売新聞)

岐阜の弁護士事務所を捜索 廃タイル処理で県警

岐阜県多治見市の弁護士が産業廃棄物を扱う許可を得ていない解体業者に、廃タイルの処理を委託していたとして、岐阜県警は18日、廃棄物処理法違反容疑などで、同市の尾関恵一弁護士(66)の事務所など関係先を家宅捜索した。

 岐阜県は17日、同法違反容疑で尾関弁護士と同県恵那市の解体業山中高治社長(59)を告発していた。

 県などによると、尾関弁護士は2006年に破産したタイル製造会社の管財人を務めていたが、07年、この会社が出した廃タイル約2千トンを産廃処理の許可を得ていない山中社長に約1千万円で委託したとされる。

 山中社長は廃タイルを破砕、自社の敷地に積み上げるなどしていた。県は撤去するよう指導してきたが、山中社長が従わなかったため、告発に踏み切った。

フリーダム、顧客が住宅仕上げるサービス こだわりの家造り可能に

 デザイン住宅を建築・設計する建築設計事務所フリーダム(神戸市、鐘撞正也社長)は、顧客自らが住宅を仕上げることができるサービスを始めた。タイル張りや壁・天井の仕上げなどを好きなように施工してもらい、こだわりの家造りを可能にした。初年度は受注棟数全体の2割程度に適用する。

 ドゥ・イット・ユアセルフ(DIY)サービスと名付けた。顧客が施工できるのは、タイル張りのほか、床の仕上げや家具製作など。材料は現場で用意し、施工する工務店やフリーダム社の設計担当者らが指導する。例えば顧客自身が壁のペンキ仕上げを実施する場合は、18万円ほどのコスト削減につながるという。

闘莉王“絶妙クロス”Vアシスト!…名古屋

◆J1第11節 仙台1―2名古屋(9日・ユアテックスタジアム)名古屋はアウェーで仙台と対戦した。1―1で迎えた後半44分、日本代表DF田中マルクス闘莉王(29)が約30メートルのピンポイントクロスで決勝弾をアシストし、2―1の勝利に貢献した。またF東京はアウェーで山形に3―0で快勝。FW平山相太(24)、MF石川直宏(28)らW杯メンバー入りの当落線上の選手が活躍し、10日の南アフリカW杯メンバー発表へ最後のアピールを見せた。

 この男、底が知れない。岡田ジャパンの最終ラインを引き締める闘莉王がW杯メンバー発表前日に見せたのは俊輔ばりのアシストだった。

 1―1で迎えた後半44分、ストイコビッチ監督から攻撃参加を許された闘莉王はオーストラリア代表FWケネディとアイコンタクト。右足で30メートルのピンポイントクロスを放った。あまりの絶好球にヘディング前からにやついたというケネディが頭で決勝弾。敵地ユアスタの1万7239人の観衆も衝撃の結末にぼう然自失。「切り札として前に出した。美しいクロス」。指揮官も思わずうっとりとした妙技だ。

 「ジョーカーみたいなイメージ。あのままDFラインに残っていても負けていた」

 今季名古屋へ移籍後の初アシスト。万能の切り札を自認する闘莉王はパサーとしてのセンスも非凡だ。渋谷幕張高に留学以前のブラジル時代は守備力ゼロの超攻撃的司令塔を務めた。絶大な空中戦の強さ、正確なフィード、そして、絶大な決定力に正確無比なクロスを手に入れた大黒柱はもはや死角なしだ。

 「彼はヴァーサタイル(万能)な選手。僕と前線でコンビを組めればいいのにね」と今季7ゴールでJ得点王となったケネディは語る。FW転向で、アジア最強2トップの結成を求めるほどの闘莉王の万能性は、南アでも最終ライン、中盤、最前線と多彩な活用法を秘める。「守り倒したね」。仙台の猛攻を1失点でしのぎ切った堅守を視察した代表スタッフは舌を巻いた。大会前ですでに失速気味の岡田ジャパンを前進させるのはもう闘莉王以外にいない。

さぁ行こう!とちぎの“B級”スポット<5>栃木・『玉川の湯』 金魚を眺めひとっ風呂

 番台を通れば、そこは庶民の社交場。栃木市室町の「玉川の湯」は昔ながらの雰囲気を残すまき炊きの銭湯で、通称「金魚湯」。その名の由来は浴室に入るとすぐ分かる。

 浴槽の湯気の向こうに、水中をイメージした絵が描かれたタイルの壁が現れる。驚かされるのは壁の中央に埋め込まれた大きな水槽。何と、本物の金魚がスイスイと泳ぐ姿が湯船につかって眺められるのだ。

 店主の内木(ないき)晴樹さん(32)によると、同湯は一八八九年創業の老舗。一九五三年に改築した際、先代店主で内木さんの妻理恵子さん(35)の祖父原(はら)さん(故人)が「動かない絵を飾るより、見ていて面白いだろう」と浴室内で金魚を飼うことにしたという。

 金魚は男女各湯で約百匹ずつ飼育。二年ほど前に初めて水を抜いて掃除をした際、「寂しいって声が多くて驚いた」(内木さん)といい、なくてはならない存在になっている。

 金魚以上に客の心をつかんでいるのが、“陰の主役”とも言える二階の休憩所だ。銭湯部分の三倍はある約三百平方メートルの大宴会場にステージが設けられ、連日、カラオケや踊りで盛り上がる。

 「チャンチキおけさ」を気持ちよさそうに歌って踊った同市の清水昭夫さん(70)は「風呂にカラオケ、みんなと話せて、ここは三拍子そろっている」と絶賛。理恵子さんが近くで営む焼きそば店から出前も取れる。

 設備が老朽化し、経営は決して楽ではない。それでも、原さんの長女で理恵子さんの母克江さん(59)は「お客さんの憩いの場として続けていきたい」と柔和な笑顔を浮かべる。

 家族が守る懐かしの銭湯。心身を温かく癒やしてくれる。

  (清水祐樹)

 <メモ> 営業時間は銭湯が午前9時~午後11時、休憩所が午前9時~午後5時。料金は大人300円、11~6歳130円、6歳未満70円。休憩所のみの利用も可。水曜定休。栃木駅から徒歩10分のみつわ通り沿い。問い合わせは=電0282(22)1865=へ。

岡山駅西口にバスセンター開所 水戸岡さんデザイン、落ち着いた雰囲気

岡山市が再整備しているJR岡山駅西口広場で28日、待合室など備えるバスセンターが開所した。同市出身のデザイナー水戸岡鋭治さん=東京=のデザインで、駅西口の公共交通の新たな拠点となる。発着する路線バスの乗客らが早速、利用を始めた。

 バスセンターは岡山県バス協会が設置。待合所は鉄骨平屋148平方メートルで、バリアフリー。待合室やトイレ、券売所、運行管理室を備える。れんが風タイル、石造りの外観、木材を多用した内装で落ち着いた雰囲気に仕上がっている。

 この日朝、開所式が行われ、水戸岡さんや同協会、行政関係者らが参加し、テープカットした。

 西口バス乗り場は4月1日から、高速、観光、空港リムジンを東口から移し1日約400便が発着する予定だったが、工事が遅れたため24日から路線バスのみ乗り入れていた。高速、観光バスは6月1日、空港リムジンは7月1日から利用を始め、発着と同時に同センターで発券も行う。

甲府市庁舎お別れ

 甲府市役所の庁舎は建て替えのため、30日で役目を終え、現庁舎での業務が終了する。79年前に完成した4号館は保存も検討されたが、老朽化が進んで耐震安全性を確保できず、7月から同館を含めすべて取り壊す。市は旧相生小などの仮庁舎に移転し、5月6日から業務を再開する。新庁舎は総事業費約110億円をかけて2013年3月に現庁舎跡地に完成する予定だ。

 市庁舎は1~4号館と別館がある。最も古い3、4号館は1931年、電話局の機能もあった旧甲府郵便局として完成した。鉄筋コンクリート造りの2階建てで、日本武道館を手がけた建築家山田守氏が設計した。

 同郵便局の移転に伴い、市は75年に4号館を買収。3号館も95年に取得した。

 4号館には完成当時、交差点側に玄関があり、アールデコ風の扉に特色があった。1階の窓の上までをタイル張りにし、その上部のモルタル部分は張り出したデザインになっている。

 4号館の室内は円柱と梁(はり)の間を曲線で結んでいるのが特徴だ。中2階の男子トイレには、高さ1メートル20、幅50センチほどの最近では珍しい大型の小便器がある。

 昨年、市民から4号館の保存を求める声が上がり、市は保存方法を検討してきた。だが、「山田氏がデザインした重要な部分が改修・撤去され、移築、復元に約8億円が見込まれる」などとして取り壊しを決めた。設計図や写真などは冊子にして残す。

 一方、1号館は61年に完成。鉄筋コンクリート造りの地下1階、地上5階建てで、東京タワーを手がけた県内出身の建築家、内藤多仲(たちゅう)氏が設計した。1階で窓口業務を行うカウンターは荘厳な大理石製だったが、03年度に市民が座れるように大理石を取り払い、低い位置のカウンターに替えた。

 市幹部は「4号館はかつて甲府市のシンボル的な建物で現庁舎に愛着がある。耐震性が増して安全に利用できる新庁舎に人が集まるようにしたい」と話していた。市は29日午前10時から閉庁式とお別れ会を開く。お別れ会では市民が庁舎を見学できる。

(2010年4月28日 読売新聞)